【後編】台湾にあった帝国大学-台北帝国大学(台北帝大)の歴史

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 隠れた台北帝大時代の建物

大学内には、由来がわからない細かい建物も含めると、台北帝大時代の遺構が意外なほど残っている。その中でも、何故か日本人の間でまったく知られていないものがある。

 

台湾大学機械旧館への地図

 

台湾大学機械工程館(旧台北帝国大学工学部)

「機械工程館」と書かれた建物がある。「機械工程館」はこの建物の正式名称なのだが、学生の間では「舊(旧)機」「機械舊館」と呼ばれることが多く、台大の学生によるとこっちの呼び名の方が通じやすいとのこと。

 

台湾大学機械旧館(台北帝国大学工学部)

台北帝国大学には、昭和16年(1941)に工学部が新設された。

計画では、写真のような建物を工学部用に17棟も建てるはずであった。が、戦争による物資の不足と敗戦により、数棟が建てられただけであった。現在残っているのは、この「機械旧館」のみとである。

 

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 (臺灣百年歷史地圖より)

昭和20年6月、終戦直前の台北帝国大学の航空写真にも、「機械旧館」が写っている。

 

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この「機械旧館」は昭和18年(1943)に建てられたもので、台北帝国大学が建てた最後の建物のうちの一つであった。

この「機械旧館」、台湾ではWikioedia先生中文版に独立した記事があるほど有名なのだが、台北帝国大学の遺構を訪ねて台湾大学を訪れ、ネットで公開している日本人数多けれど、誰一人ここを採り上げておらずガン無視状態。歴史の専門家ではないものの、東大の学者ですらスルーしている。逆に、台湾人版には必ず紹介されている。

この建物も立派な台北帝大の遺構なのに、何で知られていないのか?ちょっとした不思議なのだが、理由の一つは、「建物として面白みがない」ことがあるかもしれない。

既に紹介した文政学部や理農学部の建物は、バロック建築の風格を持った、いかにも金かけました的な立派な建物。美的にも美しく、建築学の観点から見てもかなりハイレベルである。

ところが、「機械旧館」は太平洋戦争中のさなかに建てられたもので、空襲に備えて壁を厚くするなど頑丈に作られている。そんな「贅沢は敵だ」の時代に華美な建物は贅沢の極み。結果、味気のないどこにでもある建物になってしまったという経緯がある。建物として話題性に乏しいと言うべきだろうか。

逆に言うと、余計なものを削ぎ落とした、いかにも工学部機械学科らしい機械的でシンプルな作り。これはこれで、建物の美としては成立するのではないかと。

しかし、現文學院などの華美さをまず見た後となるため、それと比べると味も素っ気もない、ただのボロい建物なことは否めないかなと。実際、手入れされていないのか、間近で見ると幽霊が出そうなほどボロボロである。

まあ、私も中国語がわかるからこそ、台湾のサイトもほじくって「機械旧館」を知ったわけで、わからなければ私も無視していたに違いない。

 

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「機械旧館」は台湾大学になった後も、長年工学部機械科の校舎として使われてきたが、老朽化で2012年に使用停止、工学部の学生によってお化け屋敷のイベントに使われたこともあったという。取り壊しも予定されていたが、2014年に台北市の有形文化財に指定されて解体は免れた。

その他の写真については、こちらのブログにいろんな角度からの写真がアップされている。こうして見てみると、とても美とはいえず無骨なものの、それが逆に光を放っているような気がする。

 

余談-大学散策に便利なツールが!

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台湾大学を散策するか!

といっても、台湾大学の総面積は約35,000ha、台湾の総面積の100分の1なんだとか。逆の言い方をすると、台湾の面積は台湾大学100個分。とにかくデカい。

あくまで「総面積」につき、公館キャンパスが35,000haもあるわけではないのだが、当てずっぽうにキャンバスを歩いてもたちまち体力が尽きてしまう。特に夏場はアスファルトの熱の跳ね返りが酷く、フライパンの上で弱火でこんがり焼かれるような感覚に。ムニエルとして料理される鮭の気持ちがわかる気がする。

それは台北帝大時代も同じだったようで、

『帝国大学案内昭和13年度版 臺北帝國大學 p229』より「臺北の夏は額にヂリヂリ焦げる程の殺人的狂熱

と表現されたほど。これ、面白おかしく編集したのではなく原文ママである。が、実際に真夏のカンカン照りの下を歩くと、「殺人的狂熱」という字面の意味がよ~~くわかる。
ちなみに、日本の大学トップの敷地面積は、だいたい予想出来るが北海道大学の66,000ha。ぶっちぎりの一位である。二位の東大は32,700haで台大とさほど変わらず。東大1000個+ちょっと分がほぼ日本の総面積となるそうな。

広い台大、迷ったら大変という部外者のために、文明の利器を利用したものが存在している。

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台大キャンパスを歩いていると、こんなものをよく目にするのだが、「臺大校区地図」という文字と共にバカでかいQRコードが貼られている。なんのこっちゃとスマホでQRコードを読み取ってみると!

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あら不思議、スマホ上に大学の地図が表示されるではないか!Google mapと連動して現在地もわかる優れもの。このQRコードは大学のあちこちにあり、スマホさえ持っていれば大学内で迷子になることはない。これ、日本の大学でもやればいいのに

また、台湾大学はGoogle mapのストリートビューでも探検することが出来る。また、台湾大学の公式地図(中国語版と英語版あり)をクリックかタップすると、その建物の歴史も書かれている。
現在は武漢肺炎の影響で行くに行けない台湾、これを見ながらバーチャル台大探索も暇つぶしに良いのではないだろうか。

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