日本人が好きな中華と言えば、トップ3に入るだろう料理がチャーハン(炒飯)。
中華料理圏の台湾でもチャーハンはメジャーな食べ物の一つ。台湾中に「名店」と呼ばれる美味しいチャーハンのお店がある。
高雄にも隠れた名店なるものがある。本日は、それをレポートしていこうと思う。
高雄のチャーハン専門店 阿成炒飯專賣店
場所は高雄駅から北へ歩いて10分から12分くらい。非常に地元臭い街中にその店はある。
看板はあるけれども、意識しないと通り過ぎてしまいそうなくらいにさりげない。「名店」と言えば立派な門構えやん?やけに庶民すぎると日本人は思ってしまうが、台湾はそんなもの。というか、こういう所が案外うまいのである。
「炒飯專賣店」
の文字が、
「うちはチャーハンしか置いてません!」
というお店の矜持に見える。
実際、メニューはほぼチャーハンとスープのみ。ほかはおまけのようなものだろう。
ただし、チャーハンは非常に種類が豊富である。シンプルis bestの「蛋炒飯」(たまごチャーハン)から、日式のサバチャーハン、韓国キムチチャーハンまである。
これを全部食おうと思ったら、お金ではなくかなりの時間と胃袋を要することになるだろう。
中には、店主の研究心からか、ちょっと変わり種のチャーハンもあったりする。
香蕉炒飯(バナナチャーハン)に吐司咖啡炒飯(トーストコーヒーチャーハン)。文字だけでかなりベクトルが変な方向に向いてそうなものだが、筆者は基本、マンゴーだけでも通天閣からバンジージャンプするくらいの度胸を要する食わず嫌い。食べ物関係の冒険はしないので、興味ある方はお試しいただきたい。
店には、「台湾十大美味いチャーハンのお店に選ばれました!」と誇らしげに幟が掲げられている。
これはどういうことか?
以前、ネット投票で「台湾人が選ぶ台湾で最もおいしいチャーハン店トップ10」が行われたという。その順位は以下のとおり。
1位:民生炒飯專賣店(台北)
2位:鼎泰豐 (台北)
3位:小茅屋 (台北)
4位:慶昇小館(嘉義)
5位:西濱蛋炒飯 (台中)
6位:艋舺阿龍炒飯 (台北)
7位:阿成炒飯專賣店 (高雄)
8位:新莊後港一路蛋炒飯(新北)
9位:高記蝦仁蛋炒飯(台北)
10位:喬品賣飯店(高雄)
2位にかの鼎泰豊が入っているのだが、本題はそこではない。
本編の主役が7位にランクされ、高雄ではトップなのである。
本当に見た目はどこにでもあるチャーハン屋なのだが、何が違うのか。期待は高まるばかりである。
あ!飲み物忘れた!
注文して待っている間に思い出し、近くの紅茶屋までドリンクを買いに行って戻ってきたら、チャーハンはすでにできていた。
(紅茶については、「台湾紅茶事情」もなかなか面白いので、機会があったら書いてみようと思う)
数あるチャーハンのメニューの中で、今回頼んだのは赤枠の「櫻花蝦炒飯」。
これはサクラエビ(桜えび)のことで、日本の駿河湾名物のあれと全くの同種であることは、1988年の科学的調査でも判明している。以前は台湾語で「花殼仔」と呼ばれていたそうだが、日本のと同種なことがわかって以降は、「櫻花蝦」「櫻海老」も使われるようになったそうな。
台湾は実はサクラエビがよく獲れ、日本では期間限定かつ収穫量が限定されているのだが、台湾は基本年がら年中食える。高雄のお隣屏東の東港は…
このように萌えキャラになっているくらい(笑
南部へ行けばサクラエビが年中食える…台湾を識る者の隠れた台湾グルメである。
このように、チャーハンの中に小さなサクラエビが具としてふんだんに入っている。
歯応えはパリッとしていて、お味はかっぱえびせんみたいな感じ(笑
エビチャーハンは日本にもあるけれども、桜えびチャーハンはちょっとした珍な味。台湾、いや高雄に行ったら試していただきたい。
というわけで…
無事完食!
台湾の味噌汁、味噌湯
今回、メインのチャーハンだけでは物足りないので、あるものを頼んでみた。
味噌汁である。
日本統治時代の50年間に、日本が台湾に遺したものは意外に多い。食べ物関連も多く、味噌汁もその一つ。「みそ」も日本語として残っているが、「みそしる」は通じない。
「みそ」は台湾語として残っていると上述したが、20年前は当たり前のように通じていた。が、日本語をつないだ話者世代が絶滅し世代交代してしまった今、通じるのだろうか…せっかくの機会なので、この店で試してみた。
大将、「みそ」湯いっちょ!
あいよ!
あら、あっけなく通じた。
ただ、日本の味噌汁と思って食すると、そのカルチャーショックを舌で味わうこととなる。
そのカルチャーショックは何か。
1.薄い
台湾のみそ湯に慣れると、関空に帰って某牛丼屋の味噌汁を口にすると、
しょっぱ!!
と、その「濃さ」に驚くことになる。
1.甘い
とにかく甘い。鹿児島のさつま汁のように、日本にも甘い味噌汁はある。が、台湾はその甘さが違うのである。
おたくのお出汁、サトウキビかガムシロップかしら?
と嫌味を言いたくなるような甘さなものが多いのである。
しかし、この甘さがたまらなくいいんだよいう人もおり、人の味覚は十人十色。ここで善悪は述べない。
筆者自身は約10年前に「出汁がガムシロップ」の地雷に当たって以来、台湾みそ湯PTSDになってしまったのだが、約10年のブランクを経て久しぶりに冒険に出てみることにした。
今回のみそ湯は…うん、甘いには甘いが、さつま汁が飲めるなら特に問題はない程度である。
日本の味噌汁と思うと明らかに違和感があるが、台湾のスープと思えば特に問題はない。
最後に
台湾グルメと言えば、魯肉飯や牛肉麺、小籠包など王道のものがあるが、我々もお馴染み、日本でも食えるわと見逃しがちな中華の王道、チャーハンにも「台湾」は存在する。
こういう、何度も食った味だからこそ、体験してみるのもいかがだろうか。
阿成炒飯專賣店 詳細
◆阿成炒飯專賣店
◆住所:高雄市三民區大連街182號
(英語:No. 182, Dalian St, Sanmin District, Kaohsiung City)
◆営業時間:11:30~14:00 / 16:00~20:00
(※Facebookと営業時間が違うが、上はGoogle mapに準ずる)
◆定休日:日曜日
◆アクセス:高雄車站から徒歩15分