『台北高校物語』の中身はどうか
『台北高校物語』は文字通り、旧制台北高校の歴史をマンガで解説した本です。
台北高校を主人公とし、台北帝国大学や台北一中など周囲の学校も擬人化され、三澤校長や教壇に立った教授陣も描かれています。
旧制高校生の格好もこうしてマンガで描かれており、襟章の「L」が文系、「S」が理系ということもこれで知りました。
後で掘ってみると、この襟章は台北高校だけでなく全国の高校共通ということも。
『まんが日本史』のように、事実を淡々と進んで淡々と終わるというものではなく、ところどころにジョーク等を入れて飽きさせない工夫も感じられます。
さらに、「影の黒幕」として日本統治時代史の台湾的権威が監修しているので時代考証も問題なし。歴史アレルギーのある人でも、ビジュアルで一つの学校の歴史を読み解けます。
ただ、全体的に絵が粗っぽいなという点と、パート2を作ろうとしたのか、終わりがやけに中途半端になっているとこが少しマイナスですが、そこは学生さんの作品なので仕方ない。
読んでみた全体的な感想は、老体に鞭を打って紀伊國屋書店まで足を運んで、全く損はなかったと満足です。
風の便りによると、この作者さんはイラストの勉強をするために日本の専門学校に留学中だそうで、第二弾以降の歴史アニメの制作にも意欲的だとのことです。
また、自分が歴史と何の縁もない状態から歴史マンガを書くことになったことから、マンガを通して歴史に興味を持って欲しいと述べています。
『台北高校物語』はかなりニッチな歴史漫画ではあるのですが、台湾史、特に日本統治時代史に興味がある方は一度目を通してみては如何でしょうか。当時は日本史の一部であった台湾史の何ページかが勉強できるはず。値段も700円ちょっと、ジュンク堂書店で少し買っただけで諭吉一枚が軽く飛んでしまう専門書に比べたら、安いものです。
後で調べてみると、台湾のネット書店である「博客来」に日文版(日本語版)売られておりました。
(リンク:https://www.books.com.tw/products/0010641538?sloc=main)
サイト自体に日本語がないので要中国語ですが、海外への発送も可能です。興味があればお一ついかがでしょうか?ホントはAmazonに売っていれば良いのですが。