台湾史上初!韓国喩高雄市長、罷免される

台湾高雄韓国喩氏罷免台湾情勢コラム
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次のの高雄市長は?

現市長が罷免され不在となった以上、次の焦点は「次の市長」である。

さて、次の市長は誰なのか。2018年の選挙で韓氏に敗れた民進党の陳其邁氏がスライドかと思われた。が、彼は第一次蔡英文政権で行政副院長(副首相)で、第二次政権でも留任された。よって彼はあり得ない。

残りは一人、現代台湾政治に詳しい人なら「あの人」かとピンとくる。

陳菊

陳菊氏である。

写真だけを見ると、そこらへんにいるおばちゃんのように見える。が、彼女は台湾の戒厳令時代からの民主活動家、つまり民主化活動で数々の同志や敵の血を浴びてきた闘士であり、彼女自身も一度政治犯として死刑判決を食らった、「一度死んだ人間」である。彼女はおそらく、活動家として民主化のために闘った「闘士」最後の生き残りだが、それだけに絶大な人気がある。
彼女のあだ名は「花媽」だが、これは漫画・アニメ『あたしンち』の主人公の母のことで、そっくりなことから。本人も認めているらしい。
意外と知られていないが、彼女の英語名は二つある。一つは”Chu Chen”、もう一つは”Kiku Chen”。前者は北京語の発音をローマ字にしただけだが、後者は「菊」が日本語読みになっている。何故そうなのかはわからない。

彼女は韓国喩氏の前の高雄市長として、人気・実力共に市民から鉄板の支持を得ていたのだが、蔡英文政権の失政に次ぐ失政で政権自体が空中分解しかねない状況に、大局を取り市長を退任。総統府秘書長1となり、裏方として蔡政権を支えることとなった。
また、これは私の推測だが、決して仲はよろしいとは言えない蔡英文と頼清徳を、今回総統・副総統としてペアリングしたのも、彼女だと思っている。大局を俯瞰してこの二人を説き伏せられるのは、現代台湾情勢では李登輝氏か陳菊氏の二人しかいない。現代台湾情勢を知らないと名前すら出てこないが、陳菊氏はそれほどの「重石」なのである。

韓国喩氏のリコール運動が始まってから、私は次の高雄市長は彼女だなという前提で、行動に注目していたが、先月の第二次蔡英文政権のスタートで、陳菊氏の動向がどうなったか気になった。結果は秘書長をお役御免。つまり、現在フリーなのである。

私はニヤリとした。もう蔡英文政権を後ろから支えなくても「独り立ち」できると判断したのもあるだろうが、これは韓氏が罷免されるのを前提に、高雄市長にカムバックすべく「降りた」なと。

彼女も、高雄市長に帰りたいと匂わせる発言を数回繰り返しており、高雄市民は「韓国喩がリコールされたら、次は花媽が帰ってくるぞ」という期待感も今回の投票数につながったのではないか。私はそう見ている。

現時点ではカムバック表明しておらず動向は不明だが、

「高雄よ、私はかえってきた!」

ガンダムではないが、できればこう言って欲しいものである。

  1. 日本では内閣官房長官に相当。ただし日本の官房長官と違い台湾ではほぼ表に出てこない。
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