中国は「出租汽车」「的士」

中国では、タクシーを「出租汽车」「的士」という。

発音はこちら!
■出租汽车 ㄔㄨ ㄗㄨ ㄑㄧˋ ㄔㄜ / chū zū qì chē
■的士 ㄉㄜ˙ ㄕˋ / di4 shi4
後者の「的士」は、広東語圏の香港で使われてきた単語で、広東語で読むと「テクシー」と言う。要は英語のTaxiの外来語である。
中国には1990年代後半から広まり、今はすっかり定着している。
30年前の1994年、私が初めて中国の土を踏んだときは、まだ「出租汽车」一択。
中国語学習者なら共感してくれるだろうが、この「出租」の発音が非常に難しい。
大学のキャンバスの芝生に寝ころびながら、

ちゅーずーちぃーちょー!
と中国人の発音と同じ音になるまで、何百回も発音練習をし、最後は唇が痛くなったものである。
「的士」が広まった後に留学した諸君は、けっこうラッキーである。
「出租汽车」に比べれば、「的士」なんて楽勝だから。
台湾は「計程車」

対して、台湾では「計程車」という。
直訳すると、「メーター(計程)で走る車」という意味である。

発音はこちら!
■計程車 ㄐㄧˋ ㄔㄥˊ ㄔㄜ / jì chéng chē
台湾では、昔は台湾語で「貸切仔」(日本語の「貸切」から)という言葉があったそうだが、今は死語になっていて、若者はその単語すら知らないという。
ここまでは、ググったらいくらでも出てくる情報である。
が、私の記事はこれで終わらない。ここで終わるような情報量しか持っていなければ、そもそもこんな記事は書かない。
「出租汽車」オンリー、「計程車」は台湾オンリーと思われそうだが、実は台湾でも1970~80年代は「出祖汽車」が使われていた時代があった。

こちらは1970年代後半の高雄、タクシーの運ちゃんが婦人警官に違反切符を切られている瞬間である。
車の上の行灯を見ると、「出租汽車」と書かれている。
これは最近の台湾の若者も知らないのか、Xに写真を投稿すると台湾人の方が驚いていたのには驚いた。
しかし、これも昔の話。現在は…
と思いきや!


台湾で「出租汽車」発見!!
紛れもない2024年の写真である。
中国ですら「出租汽车」なんてレア種になってきたんじゃないかというご時世に、どっこい台湾では生きていた。
台湾タクシーの雑学「運将」
台湾のタクシーには、もう少し続きがある。
台湾には、「ラジオ」「おみやげ」「おばさん」のように、生活に日本語が端々で使われていることが多い。
中には台湾語風に発音が改変され、これって日本語だったの!?という単語もあったりする。
おそらくその一つに入るだろう日本語が、「運将」である。
「運将」なんてそんなことば、日本語にないぞ(怒
と思いたくなるが、これ、「運ちゃん」と読むのである。意味はもちろん運転手の「運ちゃん」。
ただし、台湾で少し用法がマイナーチェンジされており、日本語と全く同じというわけではない。
1.台湾では呼びかけに使える。日本語なら「おい運ちゃん!」みたいな感じで使える。
2.タクシーの運転手のみに使用。日本語のようにトラックやバスの運転手には使わない