日本語と中国語で同じ漢字を書いて意味が違う割合は、暇人…いや失礼、偉い学者が調べた結果によると1.7%なんだそうです。1.7%なら遭遇率は交通事故並みですが、ここぞという時に当たったりします。人生そんなものです(笑
今回は、そのぶち当たりそうかつ日本人が誤解しそうな単語を中心に、日本語と中国語で全く同じ漢字を書いても、意味が全く違うものを紹介していきます。
工作
ネイティブ使用頻度:★★★★★
中国語ネイティブに「我在東京工作」「我是○○的工作人員」と書かれたり言われると、
「こいつ、工作員(スパイ)か?テロでも起こすのか?」
と警察に連絡してはいけません(笑)
中国語で「工作」は、「働く」という意味であり、上の中国語は「私は東京で働いています」「私は(○○の)スタッフ(職員)です」と表現しているだけなのです。
現地のレストランのおねーさんの名札にも、「工作人員」と書いていることが多いですが、食事に毒を盛られたり後ろからVXガスを吹かれたりことはないので大丈夫です。
ちなみに、中国華南(広東省や福建省など)では「工作」はほとんど使わず、「打工」を使うことが多いのですが、かといって「打工人員」とは言いません。
告訴
ネイティブ使用頻度:★★★★★
日本語では「訴えてやる!」というような、物々しい法律用語になりますが、中国語では「カオス」と読み、単に「言う」「伝える」という意味です。英語なら”tell”ね。
日本語の「告訴」にあたる中国語は、「打官司(タークァンスー)」です。
この「告訴」、中国語会話では1日1回以上は使うだろう、というくらい使用頻度が高いのです。中国語学習者は、「告訴」くらい四の五の言わずにさっさと覚えろ!というほどの、超初級単語です。
ところで、「告訴」は「カオス」と言います。中国語には「声調」、俗にいう「四声」があるのですが、実は「訴」の部分が声調なしとなります。これを「軽声」といいます。
が、台湾人は軽声を軽声として発音せず、「カオスー」(語尾を伸ばす。「訴」が第四声になる)と言い、実際そう聞こえます。
中国語がある程度わかるという前提ですが、中国人と台湾人をめちゃくちゃ簡単に見分け…いや聞き分ける方法があります。
「告訴」を言わせたら一発。語尾が伸びなかったら中国人、伸びたら台湾人です。中国語学習者向けの言い方をするならば、「訴」が中国人は100%軽声、台湾人は100%第四声になると。
これ、どちらも意識していないようです。
ところで、中国語ネイティブに
「我告訴你」(ウォーカオスニー)
と書かれたり言われたりしてもビビらないように。英語の” I (will) tell you”ということだから。
小心
ネイティブ使用頻度:★★★★★
「小心」も、中国語での使用頻度は非常に高めです。しかし、日本語の「気が小さい」という意味は全くありません。
台湾や香港で、こんな立て看板を見たことがある人がいるはず。
最近台湾でもこれが多くなっていますが、私はこの看板と来たら香港、これを見ないと香港に来たって気になりません(笑
これは「地面が(濡れて)滑るので注意してね」という注意喚起で、「小心」は「気をつける」「注意する」という意味です。
こう書くと、「地滑」も意味が違います。大丈夫です、空港のトイレで「地滑り」なんて起きませんから(笑
湯
ネイティブ使用頻度:★★★★★
「湯」…中国語では「スープ」という意味となり、「お湯」は「開水」「熱水」です。
日本人が間違える中国語の一つですが、中国人も日本語でよく間違える例です。それくらいお馴染みの単語です。
筆談で中国を旅していた日本人が、ホテルで持参したティーパックのお茶を飲みたくてフロントで「我欲湯」と書いたら、部屋に中華スープをどんぶり一杯持ってきてくれた
(スープ代はもちろん請求された)
中国人留学生が日本で銭湯に行ったところ、『男湯』『女湯』と書かれた看板を見て、
”男用スープ””女用スープ”ってなんじゃ??もしかして、日本人は人間を煮て出汁取るのか?』と考えると怖くなって中に入れなかった(怖くなって帰国したというオチもある)。
などという、「湯」にまつわる笑い話があります。
ところで、台湾では「みそ汁」が日帝…もとい日本統治時代の名残として残っています。「みそ」という言葉も台湾語に残っているのですが、かといって「みそしる」は基本的に通じません。
「味噌湯」になっていることがおわかりでしょう。