台湾の「海關」には別の意味が!?台湾と中国の「税関」の違い
中国語がわかる人、かつ上畠氏の事の顛末を知っているなら、上のタイトルにもう一つ引っかかるはず。
タイトルには「海關超困惑」の文字があり、直訳すると「税関がチョー戸惑う」となる。私なりに意訳すると、インド人もビックリではなく「税関係員もビックリ」。この方が翻訳としては自然だろう。
しかし、上畠氏のポストには「税関」の文字が一つもない。日本語の原文はあくまでイミグレの係官であり、どこから「海關」が出てきたのかさっぱりわからない。
台湾マスコミめ、話盛ったなw
とも思ったが、どうも引っかかるので手持ちの辞書アプリで調査の旅に出ることにした。
初めて中国へ向かってから30年愛用している辞典の電子版、『小学館 日中中日辞典』、オンライン辞書で使用者も多いWeblio中国語で検索してみると、どちらも「税関」と出た。
しかし、これではいそうですかと引き下がる筆者ではない。こういう時の最終兵器を用意している。
「萌典」という中文辞書アプリがある。
日本では「天菜」…もとい「天才IT大臣」として知られる人物で有名なオードリー・タン氏。この人、なんと中文辞典まで作っている。「萌典」はそんな氏が作った辞典で、台湾語や客家語、繁体字だけでなく簡体字まで対応という、かゆいところに手が届く辞書。それでいて完全無料で誰でも使用可。
中国語さえわかれば中国語辞書界の神アプリとして、中国語学習者の間では有名である。知らなければ絶対インストールしておいた方が良い。
で、「萌典」で調べてみると、こんなのが出た。
「出入国の管理、検査及び関税徴収などの業務を行う機関」
なるほど、イミグレも税関も中文では「海關」なのか…と解釈すると、新聞記事の「海關」は間違いではない。
では、中国ではどうなのか。私のアプリには「中国普通話」の国語辞典も常に発進準備している。
「国境や出入国での物品の流入出の管理・検査、関税徴収などを行う国家機関」
ざっくり訳すとこんな感じとなり、「イミグレ」の意味はない。
おそらく、「海關」に出入国管理(官)の意味を含ませるのも、台湾独特というのを、付録ながら学んだ。