嬰皇帝ご乱心！「巨嬰」事件簿
以下に挙げる事件は、中国のニュースサイトなどに書かれていた「巨嬰」たちの事件簿である。
巨嬰事件簿1 上海 母親フルボッコ事件
上海のある路上でのこと。
ある年老いた女性が通りを歩いていると、30過ぎの男が突然彼女の背後に駆け寄り、抱え上げたと思ったら、なんと空中に放り投げてしまった。
女性は少し抵抗したものの、男の腕力にはかなわない。男はさらに力を強め彼女を地面に押し倒した。
痩せこけた老婆は投げ飛ばされ、立ち上がることさえできず、よろめくと地面に倒れ込んだ。
なんとか立ち上がったものの、彼女はは疲れ果た様子でなすすべもなく階段に座り込んだ。が、男はシャツを脱ぎそのシャツでおばさんの頭を殴り、顔面に投げつけた。
周囲の人や警察が男の狂った行動を止めようとした。
が、その男は自制するどころかますます暴れ出し、他人のほうきまで持ってやってきて、年老いた女性を殴りつけたのだ。中国ネットではその一部映像が残っているが、その暴れっぷりはまさに狂人そのものである。
この老婆が男に何をしたのか、男はどんな憎しみがあって痩せて弱った老人を激しく殴らせたのか。
後で調べてみると、予想外のことが判明した。その老婆は男の母親だったのだ。
事の顛末は以下のとおりである。
その日、男は母親に銀行ローンの返済のために2万ドル（約300万円）を要求した。が、当然そんなお金はない。
母親はお金がないと拒否したものの、男は母親を親戚に借りに行かせた。母親は同意せず、ついに男は母親を引きずって殴ったと…
巨嬰事件簿2 武漢空港平手打ち事件
中国式の巨大な赤ん坊は、自分自身を宇宙の中心に置く。
彼らは親が自分に従うべきだと考えるだけでなく、全世界が自分に仕えるべきだとさえ考えている。
彼らのメンタリティは常に、「私は弱く、私は正義であり、他人が私を助けるのは当然である」というものだ。
2017年6月、武漢にある名門大学の女性医師が、自身のフライトに遅れ、搭乗時間を過ぎてしまった。
チェックインカウンターは航空券の変更か払い戻しを勧めたが、女医はどうしてもその便に乗りたいと主張した。
コミュニケーションがうまくいかなかった後、女医は突然カウンターに駆け込み、チェックイン係の顔を数回強く叩いた。そしてこう叫んだ。
私が5分遅れたのが悪いというのか、ゴルァ！
普段は穏やかで品行方正な性格のチェックイン係の女の子は、理由もなく平手打ちされた後、思わず号泣してしまった。
＝解説＝
今の中国ではこんなことが日常茶飯事。慢性的なフライトの遅延などもあって一概に人間が悪いとも言われへんのやけど、空港でのフライトのトラブルで暴れたり暴力を振るったりする人間が多いため、「空怒族」という新語ができたんやわ…
巨嬰事件簿3 新幹線止めちゃった事件
2018年こと、ある女性が夫を待つという名目で、高速鉄道（新幹線）のドアの入り口を物理的に独占し、子供と一緒に列車の出発を妨害した事件は、ネットユーザーの間で激しい議論を巻き起こした。
子供連れの女性が、夫がまだ列車に乗車していないという理由で、ドアを引っ張って離さなかった。
女性の夫が待合室に閉じ込められていたことが判明し、降りてこなかったので、彼の妻がドアの開け閉めを邪魔した。女性は妥協するつもりは微塵もなく、鉄道職員が「あなたは法を犯している！ 」と注意し周りの乗客が「いい加減にしろ！」と声を上げたとしても、 自分の間違いにまったく気づかないどころか、逆ギレしていわく。
「私は切符を持っている、私は切符を持っている」と叫び続けた。
この言葉は、彼女の理不尽さに対する言い訳というより、”チケットを買って入場したのだから、私の行動はすべて理にかなっている “というものであった。
さらに呆れたことに、その女性がその後のインタビューで、「私はただ足でドアを塞いだだけなのに、私に落ち度があるのでしょうか……」と語ったことだ。
トラブルを引き起こすために他の人に自分の理由のために、結局また、彼らは正しいと感じ、最終的には、これは典型的な巨大な赤ちゃんのメンタリティであろう。
自分の願望のために新幹線を止める…同様の話は、上方落語の6代目桂文枝師匠（前桂三枝）の「まくら」（本題の落語に入る前に、客を和ませたり客の反応を見るための小噺）にもある。文枝師匠の「まくら」は、お弟子さんによるとストーリーの95％が実話だそうだが、おそらく、文枝師匠も東京駅で「大阪のおばちゃん」が同じことをした光景を見て笑い話にしたのだろうが、こちらはプロの落語家の手によって、オチ付きの抱腹絶倒落語に昇華されただけマシである。
巨嬰事件簿4 ついに死者も！重慶バス転落事故…ではなく事件
巨嬰のわがままは、ついに死者まで生んだ「事件」を引き起こす。
2018年10月、重慶市内でのこと。
長江に架かる橋を走っていた路線バスが急に橋の真ん中で川に転落した
バスの監視カメラを解析すると、とんでもない原因が判明した。
ある女性客が突然、
ここで下ろせ！
と途中下車を要求、運転手がダメ次のバス停で下りろと拒み口論が始まった。もちろん、運転手は運転しながらである。
最後は殴り合いになり、運転手がバスのハンドル操作を誤ってバスが川に転落したと。
この事故で、わがままを言い出した女性と運転手はもちろん、バスの乗客を含め15人全員が死亡、海ではなく長江の藻屑と化した。
ここで下ろせ！あたしゃここで下りたいんだよ💢💢💢
「巨嬰」のわがままに巻き込まれて亡くなった13＋1人の骸は、これでは浮かばれない…・
こちらは「巨嬰症」が起こした典型的な事件として、中国では超有名な話である。
「巨嬰」のバスをめぐるトラブルはけっこう多く、他にも河南省鄭州や湖北省武漢、四川省成都などで「巨嬰」と運転手が喧嘩しハンドル操作を誤って…という同様の事件がある。幸い、死者は出なかったようだが…。
巨嬰事件簿5 成田空港国歌斉唱事件
上の4つは中国国内での話だが、今や億単位でいる「巨嬰」たちは次々と海外へ出て行き、行く先々で実に巨嬰らしいトラブルを起こしている。
細かいところでは、パリのドゴール空港やインドネシアのバリ島の空港などでも、飛行機のトラブルにより「空怒族」と化した「巨嬰」たちが大暴れしたというニュースがある。
今回は、日本人にも巨嬰という名の特級呪霊を身近に感じてもらうため、日本での例を挙げる。
2018年1月の成田空港でのこと。成田空港で帰国便を待っていた175人の中国人観光客が飛行機を待っていたが、飛行機の遅延が起こった。
ここからは、産経新聞の記事を引用する。
数十人は航空会社の紹介でホテルに向かったが、残り１００人以上が搭乗口付近にとどまり、食事や宿泊施設の提供などを要求した。しかし、彼らのほとんどが格安航空券を購入。遅延などの場合、自費で対応するのが原則で、話し合いは平行線をたどった。
深夜２時過ぎ、数人の中国人が立ち入り禁止の搭乗エリアに入ろうとしたところ、航空会社職員の男女２人が制止に入った。しかし突き飛ばされ、女性職員は足に軽いけがをした。通報を受けた空港警察が駆けつけ、一人の男性客を暴行の疑いで逮捕した。
産経新聞の記事より
警察が加害者を連行しようとすると、中国の国歌（義勇軍行進曲）を大合唱して妨害したというものである。
注目すべきは、「彼らのほとんどが格安航空券を購入。遅延などの場合、自費で対応するのが原則」という部分。
本来ならば、遅延などには自分で対処しなければならないのがルールの航空券なのに、それをなんとかしろと海外の空港で大暴れしたのである。これが私が本件を「巨嬰」事件簿に入れた大きな理由である。
また、記事はこう述べる。
中国国内で愛国教育が徹底的に行われ、テレビは連日のように、旧日本軍が中国の民間人を虐殺する内容を含む抗日ドラマを放送している。「日本にいじめられている」という被害者感情を多くの中国人がいまだに抱いている。普段は表れないが、日本人と絡むトラブルになればすぐにそれが外に出てしまう。ちなみに歌われた「義勇軍行進曲」は日中戦争時に作られた抗日歌曲である。
産経新聞の記事より
赤字の部分に注目して欲しい。「巨嬰」の大きな特徴でのべた、敵意帰属バイアスによる「パラノイア」の被害妄想がここでつながるのである。
一人っ子世代は、ほぼイコール中国の「愛国教育」を受けた世代でもある。中国の「愛国教育」には、劣等感という猛毒が仕込まれていると、以前に書いた「辱華」の記事で書いたが、その劣等感の源泉も「中華民族は長年海外によって虐められてきた」という被害者ポジ。
その劣等感を最も植え付けさせたのが、実は日本。一言でまとめてしまえば、日清戦争で「東夷の未開国」から受けた屈辱が未だに癒えないのである。日本人にとっては知らんがなだが、100年前の我々のご先祖が中国人に与えたPTSDは、我々の想像以上に大きい。
その癒えないトラウマをそのまま注射されたものが、「愛国教育」というわけである。
その鬱憤晴らしの一つがいわゆる「抗日ドラマ」なのだが、ここで彼らの行動がすべて現代中国情勢とリンクしていることがわかるだろう。
この中国人の奥底にある劣等感と被害妄想、中国人とは腐れ縁である台湾人も気づいている人は気づいており、
『鬼滅の刃』の上弦の肆、半天狗と中国人を重ねる台湾人もいる。自分をいじめてくる人間は全員「悪人」だ。だから自分は「善人」なんだという歪んだ性格、なんだか「巨嬰」が持つ被害妄想によく似ている。
私は特級呪霊、台湾では上弦の鬼に例えているが、まあどっちも同じようなものか。
この一件、日本では「文化の違い」のきれい事で片付けられているが、これは中国人に巣くう「巨嬰症」というビョーキの「発症」なのである。
以上は、当然のことながらフィクションではない。成田空港騒動以外は、中国のニュースや論壇サイトに書かれていた「巨嬰事件簿」を翻訳しただけである。
35年間も行われた（実は2014年にこっそりやめている）一人っ子政策の結果生まれた、中国社会最大の歪みは男女の人口比でも極端な少子高齢化でもない。
「身体は立派な成人なのに、精神年齢は子供どころか赤ちゃん並の大人」な「巨嬰」だと私は断じる。
本記事で「何か」を感じた人は、是非このブログ記事も読んで欲しい。
