辱華(乳滑)ー中国トレンドワードから見る中国人の心理【中国コラム】

辱華乳滑中国情勢
スポンサーリンク

なぜ辱華なのかー中国人の奥底に潜むヘドロの心理

なぜ中国人は「辱華」にここまで敏感なのか。それには大きく分けて二つの心理があると、筆者は推測している。

歪んだ愛国心と、植え付けられた劣等感

「支那に国家なし、国民なし」

明治39年(1906)に中国の大地を踏み、中国世界を目の当たりにした徳富蘇峰の言葉である。

日本人は近代的視点で中国世界を見るが、その目は間違っている。古代から現代まで、古代のままである。そこに国家はなく、王朝も政府も一つの「私」、人民もまた「私」である。
中国には、数億の「砂」があるのみで。ぎゅっとつかんでもバラバラになるだけである…孫文は当時の中国をこう表現した。

現在こそクローズアップされる中華人民共和国の愛国心教育は、25年前からすでに種が蒔かれていた。

愛国心教育自体は何の問題もない。やっていない日本の方が、世界的におかしいだけである。

中国の「愛国教育」は、いわゆる「中華思想」である。

いわゆる中華思想は、元は儒教の教育を受け儒教的価値観に染まった知識階級の専有であった。現代中国でも、学歴が高ければ高いほど中華思想、そしてそれに付随する反日、反米などの意識が強いのはそのためである。
よって、その日のメシが食えればそれでいい人民には、そんなものどうでも良いし、メシにならない思想など要らないのである。

中国はそれを小学生から叩きこんだ。反論の余地を与えぬほどに。

そしてできあがったのが、中国語で「小粉紅」(ピンクちゃん)と呼ばれる愛国人民である。
私は彼らを、造語で「強国人間」と呼ぶ。元ネタはZガンダムの強化人間だが、一方的な価値観を与えられそれにより「強化」されたという部分は、まさに中国の愛国人民そのもの。
彼らの心理を深掘りすればするほど、ガンダムの強化人間とダブってしまうのである。

しかも、「強国」はその愛国人民たちが自分で言っていることなので、ヘイトでもない。

彼らが植え付けられた価値観こそが中華思想だが、それには彼らも意識していないだろう、ある猛毒が仕込まれていた。

劣等感である。

中華思想は、北方騎馬民族に土地を荒らされても何もできない自分たちへの劣等感を、他者を文化程度が低い夷狄だと見下し精神的な優越感を得ることによって成立する思想だが、これも同時に注入されたのである。

それと共に経済成長をした結果、自尊心も高くなった。

が、「愛国教育」によって知らず知らずに劣等感を注射された彼らは、自尊心が高く劣等感を持った人間になった。これは、わかる人にはわかるが、とんでもないモンスターの爆誕である。

劣等感と上手く折り合いをつけないまま自尊心だけが高くなるとどうなるか。「優越コンプレックス」が発生する。

優越コンプレックスとは、劣等感を隠すために自分を強く、偉く、立派に「見せかける」こと。本当は背が低いのに、つま先立ちで大きいふりをすること。

『一瞬で変わる100の言葉』アルフレッド・アドラー著 より

しかも、優等コンプレックスは劣等感の根が深ければ深いほど、その跳ね返りとしての優越感も強くなり、言動にあらわれる。「弱い犬ほどよく吠える」ということわざがあるが、まさにこれが「優越コンプレックス」なのである。

よって、「愛国」を仕込まれそれを声高に主張し、辱華だと騒ぐほど高揚するのは愛国心ではなく劣等感、正しくは劣等感に裏打ちされた「優越感」である。

また、根深い劣等感はもう一つの副産物を産む。被害妄想である。
被害意識が強いと、いわゆる「被害者ポジション」に走る。被害者だから何をしても許される、そんな被害者を攻撃するのは「いじめ」であり「差別」である…という思考になる。

だから、自分は「辱華」と言っても何の問題もないのに、他人に

や〜い、乳滑wwwww

と茶化されると

被害者をいじめるとは辱華アル!差別アル!

と怒り狂うのである。

ここまで書いて、東亜情勢ウォッチングにいそしんでいる人は、なんか既視感があるだろうと思う。

そう…

(南北)朝鮮である。

韓国ウォッチングをしていると、よく彼らが被害者ポジションを取ることが多いことに気づくと思うが、よく似てるな…と思うのは当然である。

「本家」と「分家」、「西朝鮮」に「東中国」だから。

「巨嬰症」の人々

中国の巨嬰症

2018年10月、中国でこんな事故、いや、事件が起きた。

重慶市内の長江に架かる橋を走っていた路線バスが、橋の真ん中で川に転落して、乗客と運転手の計15人全員が死亡した。
原因は以下のとおり。
乗り過ごした女性客が途中下車を要求、運転手がそれを拒んだので最初は口論、最後は殴り合いになり、運転手がバスのハンドル操作を誤って車が川に転落したことである。

中国の一人っ子政策施行から40年がすぎ、一期生も既に40歳を越えている。この時期に生まれた彼らは、たった一人の子供ということで、甘やかされまくってわがまま放題に育った結果、「小皇帝」という言葉が生まれた。この言葉に懐かしみを覚える元中国滞在者も多いと思う。

そんな彼らが大人になった。「小皇帝」のわがまま三昧は治ったのか…否、余計に悪化していたのである。それを表す言葉が「巨嬰」
「巨嬰」とは大きな赤ん坊の意味で、身体は大人だが頭は子供どころか赤ちゃん並みという、現代中国を表す病癖の一つとなっている。

中国の巨嬰

例えるなら、『千と千尋の神隠し』に出てくるこのわがままな赤ちゃんである。中国ネットでも中国にはびこる「巨嬰」とこれを重ねる人が多いようで、画像検索すると結構出てくる。

上に書いたバスの事故も、客の「ここで降ろせ」という自己中わがままから始まった悲劇なのである。

30年以上も一人っ子政策を続けた中国は、とにかく「巨大な赤ん坊」が多い。
とにかく自己中心的なわがままで、自分の思いどおりにならないと怒りだし、理性を失い感情が暴走する。
このケースは挙げていけば一冊の本、いや事典ができるほど多いが、詳しくはこちらにまとめたので興味があれば見て欲しい。

劣等感と自尊心の肥大から来る「優越コンプレックス」、そしてそれを受け入れられずゴネたら何とかなると言う「赤ちゃん体質」…これこそが「辱華」の正体。

中国が世界中で繰り広げている「戦狼外交」も、口汚く罵ったり屁理屈を弄したりして「駄々をこねる」という意味では「巨嬰外交」と言えるだろう。そして、「巨嬰外交」は「虚栄外交」へ。

「巨嬰」については、深掘りするとかなり面白い現代中国人の心理が理解できるので、こちらの記事にまとめた。よかったら読んで欲しい。

タイトルとURLをコピーしました