爆笑かドン引きか!?”辱華”ケーススタディ
”辱華”の典型的なものとしては…熊のプーさんが有名である。
なお、下手に画像を出すと海の向こうからゴルァされるので画像は出さない。
中国+プーさんとくれば習近平国家主席。
中国関係の投稿でプーさんの画像を張ろうものなら、たちまち
辱華!!!!!!
という声が飛んでくる。これは非常にわかりやすい。
なお、中国のネット世界では大人、もとい主席の都合でプーさんを検索できない。
真偽のほどはわからないが、先日の福島処理水をめぐる「中国人イタ電事件」で、イタ電対策にプーさんのテーマソングを流してやったら、イタ電主はLIVEでやってたらしく垢BANを食らってしまったという珍事もあった…らしい。たぶんネタだと思うが。
実例1 外交関係にまで発展!スウェーデン辱華事件
北欧の福祉国家というイメージが強いスウェーデン、ここで2018年9月、ある事件が起こった。
ある中国人観光客が、地元警察にホテルから追い出された上に殴打されたというのである。
この一部始終は、被害者の曽という人物が
中国人に対する差別だ!辱華だ!!
と叫びながら動画を撮っていたこともあり、瞬く間に中国に拡がった。
そして、この話は中国中で炎上し、駐中国スウェーデン大使館のSNS垢は文字通り炎上。中国政府まで
よくも中国人バカにしたアルな!!💢💢💢
公式記者会見でスウェーデンの対応を批判した、いや、口汚く罵った。
この話は、「スウェーデンによる中国人差別事件」で終わるはずだった。
ところがである。スウェーデンが冷静に事の詳細を説明したところ、なんと曽の動画及び説明、全部嘘だったのである。
事の詳細はニューズウィーク誌のこの記事に詳しいが、これは中国が「政治的な理由」の当てつけということもバレて外交問題に発展。スウェーデンとの関係は険悪となり、中国も全く謝罪しなかったこともあってスウェーデン国民の感情まで逆なでした。
実は、これが数字に出ている。
アメリカのピューリサーチセンターが毎年行っている、主要国の対中感情割合の2023年最新版によると、スウェーデンの「中国に対するネガティブ感情」、つまり「自分は中国嫌いです」は85%と、ヨーロッパでもぶっちぎりのトップ。世界でもなんと2位。
ついでながら、栄えある1位はなんと我らが日本とオーストラリア。日本は実は世界一の反中国だったというオチで終わりたかったが、話はここで終わらない。
同じくピューリサーチセンター発表の、調査国の反中感情の年代別推移である。これはこれで一つ一つ分析すると非常に面白いのだが、本編ではスウェーデンにのみ焦点を当てることとする。
スウェーデンの反中感情は、2016年〜2018年は50%前後とそれほどでもない。日本の83%に比べたらかわいいものである。
が、2018年から2019年になると、52%→70&と急上昇。さらに翌年には85%まで急上昇。そこから高止まりの状態が続いている。
この2年で33%もの上昇…20年はコロナの中国の対応のせいもあるが(19→20年は調査国すべての反中感情がアップしている)、そうだとしてもスウェーデン人の反中感情の根っこは、”辱華”事件が絡んでいる。
実例2 「パリピ孔明」辱華事件
「パリピ孔明」とは、原作四葉夕卜、漫画小川亮による日本の漫画で、五丈原で死んだ諸葛孔明が現代日本(渋谷)に転生、自分を助けてくれた駆け出しの女性シンガーソングライターの恩に報いるべく、得意の知謀を活かして彼女をサポートして売れっ子にしていくというストーリーである。
三国志ファンにはたまらない漫画で、2022年にアニメ化され私も見ていたのだが、このアニメで”辱華”が起こった。
問題のシーンはこちら。
何のこともないシーンだが、トラックのナンバーを見ていただきたい。「47−291」とある。
これを日本人が
シナニクイ→支那憎いじゃね?
と指摘して中国にも広がり、
辱華アルよ!!!小日本は謝罪するアル!!!
と騒ぎ立てた。
この中国人の発狂ぶりを台湾マスコミやPTT(台湾最大の掲示板。通称「台湾の5ちゃんねる」)が話題にしており、これに対する台湾人の反応は
この作品自体が(中国人の発想では作れず中国人の劣等感を逆なでしたという意味で)辱華だろwwwww
トラックごと埋めたらいいんじゃね?wwwww
(🇨🇳の「新幹線埋めた事件」を茶化してる)
中国人、また乳滑でうれションしてるのかよwwww
諸葛孔明、子孫に小便かけられるwwww
さすがは乳滑にはとことん馴れてる台湾人、コメントも皮肉で返しまくっていて、余裕すら感じる。
結局、この数字は2022年に発覚した日野自動車のエンジン不正問題で発生したトラックのリコール台数を、アニメ制作会社がパロっただけのものとわかり、事態は沈静化。中国人が勝手に怒り勝手に自爆しただけで済んだ。
この「パリピ孔明辱華事件」、日本ではアニメファンの間では知られていると思うけれども、一般にはほとんど知られていない。
その証拠に、「パリピ孔明」のWikipediaの日本語記事には本件が全く触れられていない。が、中文世界では周知の事実らしく、中国語Wikiでは事の経緯がけっこう詳しく書かれている。筆者も(中国語がわかるので)参考にしたほどである。
なお、アニメ「パリピ孔明」の正式配給は中国語圏では台湾と香港だけで、中国では放送されていない。。。
つまり、中国人は自国で放送されていないこのアニメを違法に「盗み見」し、勝手に辱華されたと怒った…というオチである。
実例3 福島処理水における「福島産の食材使ってます」事件
これは記憶に新しいので、覚えている人がほとんどだと思う。
新宿のある店が、こんな看板を立てたところ…
「辱華」と感じた一人の愛国中国人が凸し、看板を撤去させるという「愛国行為」を行った。
これは記憶に新しいので、これ以上の説明はいいだろう。
なお、この「事件」の後日談だが…
この一件からこの店は応援したい台湾人、香港人、そして本件を気にしていないor眉をひそめている一部良識中国人で殺到し、大繁盛しているとのこと。
そして、一部反共中国人が中国SNSやTikTokで
福島の食材ウマ〜!
と「強国人間」(🇨🇳の無謬を信じ”辱華”に敏感な中国人)を煽り、さらに”辱華”だ!といきり立つ「強国人間」と、中国人どうしで仲良くやっているようである。
実例4 「雄獅少年」辱華事件
辱華は中国人が外国人に対して行うものではない。中国人が中国人を辱華だと罵る案件もあるのである。
ちょうど日本が「実例3」で盛り上がっている頃、こんな事件が中国で起こった。
中国が制作した「雄獅少年」、日本名「ライオン少年」というアニメがある。日本でも公開され、芸術的にも高評価を得て中国やるなとなっているのだが、これが
辱華アルよ!!!!!
というのである。
それは登場人物の目。このアニメの人物は細く吊り目気味…そう、これが欧米人のステレオタイプの中国人観だ欧米に毒されている辱華だと騒ぎ立てたのである。
中国人が中国人を辱華と罵る、辱華の内戦状態。もうここまで来ると開いた口がふさがらない。
さて、次はなぜ彼らが「辱華」するのか。その心理を探ってみようと思う。